第59回 大宮公園の梅を観よう
■日時 2016年2月16日(火)9時30分〜12時30分
■天気 快晴
■コース 大宮公園駅→盆栽村散策→大宮第2公園観梅
■案内 二宮靖男さん
■人数 11名
青空に梅の花が美しく、最高の梅見日和でした。二宮さんのご好意で資料を掲載してあります。
編 二宮靖男
≪サクラとウメはどう違う≫
梅 孤高清楚(ここうせいそ) 清廉高潔(せいれんこうけつ)
◇先駆けの花、蕾のなかに開花を見出す余情ある美
◇梅は咲くことを楽しむ花
◇寒い時期に一輪一輪咲く
◇疎影横斜(そえいおうしや) 横斜疎痩(おうしやそそう)
桜 絢爛豪華(けんらんごうか) 艶麗華俗(えんれいかぞく)
◇今を盛りとばかりの満開の美
◇桜は散るを惜しむ花
◇桜は暖かくなって一気に咲く
◇桜はパッと咲く満開の美
※「梅は蕾の中に開花を見出す余剰ある美、桜は今を盛りとばかりのの満開の美」 は華道家、花人「川瀬敏郎」の言葉
≪植物の性質、取扱い、花木としての文化史的側面から考察≫
〇梅は一花、桜は群花の美
○梅の馥郁たる香りも観梅の楽しみの一つ、桜の匂いを慕ってふつう花見には行かない。(オオシマザクラ、駿河台匂、千里香、上匂という匂い豊かなサクラもあるが。)
〇梅は文の花(公文木・学問の木)、桜は武の花(「花は桜木人は武士」)
〇「梅は正妻、桜は愛人」(『失楽園』を書いた作家渡辺淳一のことば)
〇梅は老幹の年輪、横斜疎痩、疎影横斜、幹立ちの姿、枝配りも観賞の対象、
桜は群植してこそ効果、盆栽にはどんな梅でも良いが、桜ではフジザクラ(マメザクラ)が用いられるくらい。梅には「盆花」「盆梅」ということばもある。
〇梅の花芽の最適成長温度10℃、桜は16〜17℃、休眠打破の温度が異なる。
〇梅は移植が容易、桜は難しい。ウメの萌芽力、桜は弱い。
〇梅は剪定に強いが、桜は剪定すると病気になりやすい(桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿)。
〇梅は材が堅いので接ぎ木が難しい。一方、桜は容易である。
〇梅の花は柄がほとんどないが、桜の花は長い柄がある。
〇梅は一つの花芽から一つの花を咲かせ(花芽が1節に1個)なので疎々としているが、桜は花芽が房状についているので花数が多く華やかである。
〇梅は花柄がないので、枝にくっつくように花が咲く。桜は花柄が非常に長いので枝からこぼれんばかりに花が咲く。
〇梅は花びらの先が丸いが、桜は花びらの先が割れている。
※参考文献「樹木の個性を知る、生活を知る」生原喜久雄ほか
ウメの園芸分類
1.野梅(やばい)
樹勢が強く、枝は細かく伸び、葉は小さい。早咲きのものが多く枝の断面は白色となる。
1-① 野梅性(やぱいしょう)
枝が細かく密生、短枝が針状になることも。新梢は緑色で後に日焼けして赤みを帯びる。葉は比較的小型で軟毛がある。早咲きが多く一重、八重があり、香りも高く盆栽用に向く。
■主な品種 冬至、八重寒紅、 白加賀、八重野梅、曙枝垂、見驚、野梅、満月、玉牡丹、新冬至、白滝枝垂、茶筅梅、塒出の鷹、紅冬至、雪月花、田子の浦、小梅 道知辺など
1-② 青軸性(あおじくしょう) 新梢が常に緑色。尊(がく)が緑色で、花は青白色。
■主な品種月影、月の桂、緑蕚、緑蕚枝垂、大輪緑尊、金獅子など。
1-③ 紅筆性(べにふでしょう)
枝と葉は野梅性と同じ。蓄が毛筆の穂先のように尖り紅色になる。枝の節が高くなる。
・主な品種 内裏、紅筆、八重海巣、五彩梅、書屋の蝶など
1-④ 難波性(なんぱしょう)
樹は比較的倭性(わいせい)で枝は野梅性とほぼ同じ。葉はやや丸い。挿し木、取り木、接ぎ木などの繁殖が比較的容易。接ぎ木用の台木に利用できる。
■主な品種 故郷の錦、難波紅、浮牡丹、玉拳、白難波、春日野、思いのまま、など。
2.紅梅系(こうばいけい)
樹勢はやや弱く、材は紅色で新梢も赤みを帯びる。枝は細く蜜に出る。
2-①紅梅性にこうばいしょう)
枝が細かく分枝する。葉柄が濃紅色。材は花色に関係なく紅色。
■主な品種大盃、鹿児島紅、紅千鳥、鴛鴦(えんおう)、玉光、緋の司、八重唐梅、蘇芳梅、関守、森の関、紅牡丹、蓮久、雪の曙(花は白)、雪灯龍(白花に近い)
3. 豊後系(ぶんごけい)
3-① 豊後性(ぶんごしょう)
杏(あんず)との雑種と推定される。枝は太く疎性。葉は大きく円形、ふつう毛がある。
花の香りは乏しく、蕚は花弁に対して反り返る。庭植えに向く。耐寒性が強い。
■主な品種 豊後、藤牡丹枝垂、開運、白牡丹、未開紅、楊貴妃、滄溟の月、武蔵野など
3-② 杏性(あんずしょう)
アンズとの雑種と推定。枝は豊後性に似るが、やや細く葉も小さい。葉は無毛で秋に美しく紅葉する。花期が遅く香りも乏しい。庭植えに向く。
■主な品種 記念、八朔、獅子頭、千歳菊、桜梅、江南所無、淋子梅、黒田、など
大宮公園駅前で準備体操
盆栽村を見学