2016.9.17田中肇先生 講演会&観察会
□日時 2016年9月17日土曜日 9時30分〜
□演題 「走る飛ぶ植物たち」
□講師 フラワーエコロジスト 田中肇先生
植物と動物の違いは、植物は移動できない。動物は移動できる。しかし、植物は一生に2回長距離移動する。1回目は花粉移動。2回目はタネで移動。花粉の中には一組の遺伝子が入っているので、花粉一個一個が一つの植物である。下線のある部分は参加された大石さんから、判り易くとアドバイスを受け訂正した部分です。
花粉
風で花粉を運ぶ
○スギにはスギの事情がある。
雌花が5㎜で下向き、受粉滴0.1㎜。タネ1個に200万個の花粉が必要。雄花1個に24〜44万個入っている。
○ススキは花の時期とタネの時期に開く。雄花はスプーンのようで風が吹いたとき花粉が出るようになっている。
1ススキ 花が咲いている時期
水で花粉を運ぶ
○アマモ(別名リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ)
花粉の長さ3㎜ 水の中では長さが必要
動物に花粉を運んでもらう
○ヤマユリ 雄しべは掃除機の柄のように動きやすい 訪れるチョウは足が長く口も長い。チョウの羽は防水機能とほこりよけ機能あり
○ホタルブクロ 雄花→雌花 中に入ったハチが背を向けて上れるように、花の内側には、斜め上の毛が生えている
2先生はハチの小道具を持参
○イチヂクの仲間 イチヂクの花は内部にある。イチジクと同じ構造のイヌビワでは、受粉を手伝うイヌビワコバチの大きさは2㎜である。雌株の雌花は柱頭が長いので産卵できないが、花粉を付けているので種子ができる。雄株(陰頭花序)にであうと産卵できる。生み付けられたものは虫こぶになり幼虫はその中で栄養をとり大きくなる。
○ユッカ 蜜がない。ユッカガが花粉を運ぶ。雌しべに穴を開けて卵を産む。サナギになって土の中に入る。
弾く
○カテンソウ 花の大きさは4㎜。午前中に花粉が飛ぶ。林の中は風が少ない。花粉は0.01㎜、葉の下にある雌花は0.8㎜。クワクサも花粉を弾く。
タネ(散布体)
風でタネを運ぶ
○タンポポ シラン フヨウ
水でタネを運ぶ
ミズバショウ ユウゲショウ
動物にタネを運んでもらう
○オオオナモミ(カギ状) ヌスビトハギ(盗人の足跡の形、毛が生えている) コセンダングサ(トゲの向きがタネの部分と先の部分が違う) チヂミザサ(タネの先が粘る) ミズヒキ(カギ状)
3-1チヂミザサ 雌花
3-2チヂミザサ 雌花と雄花
4コセンダングサ トゲの向きが巧妙
○ミズバショウ(熊) ネズミモチ(鳥)
熊の糞を調べるとミズバショウの種が入っている。タネの外側はゼリー状である。先生が食べたところ炭水化物の味で小麦粉を生で食べたような味だったらしい。
○スミレ アリに運んでもらう カルンクル(caruncle)は日本語で種枕。アリの食料になる。エライオソーム
走らない飛ばない
○ミゾソバ 閉鎖花(泥の中で受粉、タネは白くて大きい)と開放花(閉鎖花より小さい紫外線をよけるため茶色)あり
○イヌムギ
質問コーナー
○ヤマノイモ フタリシズカには花の隙間が好きというアザミウマという羽はこん棒のようなものに毛が生えた特殊な形をした虫が訪れる。
★ 雌しべは花粉を選択する。自分の花粉はゆっくり、他の花粉ははやく→花粉管の伸びていく速さが違う。自家受粉を避けるための工夫。
動植物の知恵や生き方に驚き、あっという間の時間だった。
森の中の観察会
及び記録 ヤマホトトギス キササゲ トキリマメ
アシボソも閉鎖花がある。
5会場の脇の雑木林
6ヤハズソウ マメ科
7ツマグロオオヨコバイ
8ママコノシリヌグイ
9だれかな
10オオカマキリ(高野氏同定)
11ショウリョウバッタ(高野氏同定)
12ハリカメムシ(高野氏同定)
13クワクサも花粉を午前中に飛ばすそう
14ヌスビトハギのタネ
15
16テングタケの仲間
17コバノガマズミ
18ナラタケモドキ
19ゴンズイの実はまずいから少ししか食べられない→遠くに運んでもらえる
20アメリカウラベニイロガワリ
21ハギ
22ノブドウ
23-1トキリマメ
23-2
24キササゲ
25キバナアキギリ
26イヌショウマ
27アキノタムラソウ
28コナラシギゾウムシ
29ネコハギ
30ガマズミ