畑の工夫 平井耕二  

1.馬糞の熟成加工
馬糞が湿土の土壌改良にいいということで、一度やってみようということになり、近くの競馬場の厩舎から分けて頂いた馬糞を、最初は畑に野積みして乾燥させて畑に投入しましたが、糞の塊がそのまま乾燥して固くなってバラけず、畑のあちこちに馬糞の塊がごろつくというような、みっともない状態になりました。 その結果から、畑に野積みの自然乾燥だけでは、使い勝手のいい馬糞が出来ないことが分かりました。そこで、市販のベニヤ板(91×91×0.3cm)を使って120cm×80cmのパネル2枚と88×80cmのパネル2枚を作り、四方をこのパネルで囲った、天井と底のない入れ物を作りました。自然乾燥である程度乾燥した馬糞をこの入れ物に米糠と交互に馬糞を入れて発酵させてみました。 結果は良好でした。 馬糞は粘り気がなくなり、排泄された飼葉はノコギリで切った切りくずのような細かい状態になり、糞尿独特のアンモニア臭も全くなくなりました。一度発酵が終わった後で、全体を撹拌し、若干残っていた馬糞の塊をほぐしながら、もう一度、米糠と混ぜ合わせ熟成度を上げ、完熟(?)馬糞に仕上げました。今年、この馬糞を粘土質の水はけの悪い畑に投入しましたところ、粘土質の土壌がサラサラの土に見事に変りました。

2.早春の種まき
2月の下旬、昼間の気温がまだ10°Cちょっとくらいの時期に直播をしても発芽をさせることは、なかなか難しいものですが、直播ではなくポットで苗を育てみようと思い、25マスのトレーに種を蒔き十分に水を遣った上で、トレー全体を半透明のごみ袋で覆い、入り口を紐で縛って塞ぐ方法で発芽を試してみました。この狙いは、夜間に気温が急激に下がるときに、その下がり方を緩やかにして保温効果を持たせることと、ポットに含まれた水分が空気中に発散して、ポットの土が乾燥するのを防ぐことでした。キャベツの種で試してみましたが、結果は良好でした。ポットの乾燥はほとんどありませんでしたし、発芽も2週間後には、同時期に畑に直播したニンジンが全く芽を出していないなかで、セルトレー25マス中17マスで発芽がみられました。元々、種子の発芽率が70%でしたから、十分な発芽といえます。ただ、同時期にポットに蒔いたダイズの種子では、大粒であるためか種子がふやけて痛んでしまい発芽しないことがある上に、発芽しても双葉が相当傷んでいるケースが散見されましたので、あまりお勧めはできません。ただ、双葉が痛んだ苗でも移植後の本葉の成長には影響がないように見受けられました。やはり、このやり方はキャベツやカブ、大根のような小粒な種子の野菜で、早春に苗が欲しい場合に限定して使える方法だと思います。 是非、試してみて下さい。

3.間引き苗の移植用ピンセット
家庭菜園ではホームセンターで苗を購入して栽培することが多いかと思いますが、種を購入して苗を育ててから作物を育てる栽培も是非お勧めしたいところです。 その場合、購入した種をできるだけ無駄なく有効に使うということが大事になってきます。 ポットに種を蒔くときにはどうしても発芽率を考えて、少し多めに種を蒔き勝ちで、余分に生えてきた苗は間引くという無駄が出る一方で、欲しいところに芽が出ないことや発芽した芽がひ弱であったりすることが結構あります。 そんな場合に、必要以上に発芽した元気な芽を間引きをして、移植出来たらいいですね。 ただ、芽を抜き取っただけでは毛根を引きちぎってしまいますので、移植は失敗します。 そこで、考えたのは写真のような移植用のピンセットです。  これを使って、移植する苗の周囲の土を抱き込んだ形で土ごと引き抜き、それをそのまま移したいポットに差し込みます。 この方法ですと移植はほぼ成功します。 このピンセットは篠竹で作りました。 このピンセットは重宝に使えると思いますので、お勧めです。

4.重力式自動排水ポンプ
大げさな物言いになりましたが、要はサイホンを使った排水装置です。 新たに管理を委託された畑は見沼代用水の東縁に位置しており、南北の両サイドに2本の側溝があって、湧水の排水をするようになっております。その側溝を湧水は西から東に流れ、排水路に注ぎ込むようになっています。しかし、長い年月を経た結果、排水路に注ぎ込むための取り入れ口と側溝の底の位置の高さに大きな食い違いが出来てしまいました。 その結果、一部の流水が溜水になって常時水を保持する形になり、畑の土が湿土になっていました。そこで、側溝の水位と排水路の水位との差を利用した重量式自動排水装置を取り付けることにしました。側溝の排水取り入れ口の近くを少し深く掘り下げ、排水装置の取水口としました。結果、側溝の水位を排水路の水位まで下げることが出来、今まで排水しきれなかった水の大部分を排水することが出来ました。この装置の利点は、側溝の水面が排水路の水面よりも高いときは排水され、両面の高さが同じになれば、自動的に排水が止まります。また、雨が降ったり、湧水が出たりして、側溝の水面が高くなると、また自動的に排水が進むことです。注意点は、取水口と排水口が水面からでないようにすることと、取水口が泥に埋まってしまわないようにすることです。 後者の対策としては、大きめの植木鉢を取水口の真下に沈めておくのがいいでしょう。これで、泥が取水口を塞いでしまうことは避けられます。

平井さんの工夫は(サトイモの芽挿し、ヨトウムシ対策、ネキリムシ対策、レンゲソウの栽培)ニュースレターに掲載されています。エコ.エコでは2021年2月に「環境保全型農地」という表現を入れて畑の名称を明記し、畑の場所を解りやすくしました。トラスト畑、エコ畑1.2.3.4、ベレーガ畑1.2、福畑1計8カ所です。

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