ヒトが幸せになる文明とは

最近、農家の方も一般の方も普通に除草剤を使っている。お店の一番目につくところに除草剤が配置してある。これがヒトの文明の証だとしたら、とても悲しい。(撮影2019.6.13 さいたま市綠区南部領)3年前に瀕死のノカンゾウを救出したのもこの場所である。今は私たちの手入れしているマルコ(エスベラント語で湿地の意味)で今年も元気に蕾をつけている。基本、植物は移植したくはないが、このような場合は、許されると勝手に理解している。

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キイロサナエ(サナエトンボ科 2018埼玉県VU 2015環境省NT)に指定されているトンボの撮影に来ていた方は、除草剤の散布をみてがっかりしたと話してくれた。ヤゴは砂泥質の河床を好むそうである。田んぼに水が入る時期に産卵にやってくるとのことで、確認しましたと話してくださったが、まだ、写真は撮れていないとのことで、度々カメラを手に探し歩いているのを見かける。

環境保全に除草剤はNGなので、草刈りを行っている。サイサン環境保全基金の助成金で電動の草刈り機と手押しの草刈り機バロモアを購入した。草刈りは、今までより短い時間で終わり、体力の消耗が少なくなった。自然保護活動の一番の課題はボランティアの高齢化である。頼りになりそうなヒトが来ても、しばらくすると再就職して、保全活動には来なくなってしまう。社会の仕組みは自然とは関係ないと考える人も多いが実は、ヒトの生活と密接な関係がある。このままの社会の動き、経済の動きだと高齢化対策として、楽な保全を目指すことは、重要課題である。日本社会は、環境にとってより良い方向に進んでいるか疑問である。
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2019年6月6日のFIT(森林インストラクター東京会)の「子ども達に伝えたい環境教育」の内部研修があった。講師は長年小学校で教鞭をとっていた遠藤正さんであった。1949年〜2019年までの環境にまつわる年表をまとめてくださった。その中から抜粋する。
1949年 東京都「工場公害防止条例」制定
1962年 「沈黙の春」レイチェルカーソン著 出版
1965年 プルトップ缶登場
1967年 公害対策基本法
1968年 ヤクルト プラスチック容器導入→1976年再生プラスチック定規作成
1972年 国連人間環境会議→人間環境宣言
    「尾瀬に死す」平野長靖著  自然保護運動
1973年 サントリー愛鳥キャンペーン
1975年 全国小中学校公害対策研究会から全国小中学校環境教育研究会に名前変更
1978年 日本自然保護協会「自然観察指導員」養成開始
1980年 多くの企業が週休2日制導入
1985年 トンボ王国保護区用地買い取り開始 高知県
1989年 日本環境協会「エコマーク」を制定
1990年 日本環境教育学会発足
1991年 文部省 環境教育指導資料 中高編 発行
     森林インストラクター制度発足
1995年 こどもエコクラブ発足
1996年 ペットボトル入り緑茶登場
2000年 総合的な学習の時間 段階的に実施
2001年 子どもゆめ基金 創設
2002年 完全学校週5日制の実施
2003年 反復百マス計算がベストセラー
2005年 クール・ビズ始まる
2014年 富岡製糸場と絹産業遺跡群 世界遺産に登録
     手漉き和紙 ユネスコ無形文化遺産に登録
2018年 中国 リサイクル用廃棄物輸入禁止
2019年 森林環境譲与税の創設 4月1日施行→2024年予定 森林環境税(国民が環境について考えるキッカケになるのではとのこと)
    マレーシア 廃ブラスチックを送り返す
公害対策から自然保護に向かいつつあると思うが、環境保護にお金が入る仕組みを作らないといつになっても除草剤と縁が切れないように思う。かつて訪れたコスタリカでは自然保護解説員がガイドの仕事をして生計を立てることが出来るとのことだった。グリーンツリズムと軍隊のない国コスタリカが大きく転換したのは、1996年に生物多様性法が制定された事による。法案制定に中心的役割を果たしたルイス・マルティネス・ラミレス元国会議員は「自然は全体でひとつのものであり、個別に保護しても、バランスを考えなければ意味がない。」自然の生態系は何よりも優先するという価値観を打ち出した。これは人間が持続的に発展・維持するためには、生態系のバランスを優先させるべきだという事である。
エコロジーとエコノミーの二つの頭文字をとってエコ.エコという名前にしたのも、いつもコスタリカの事が頭にあったからだ。生態系を壊す一つに、戦争があることも忘れてはいけないことである。
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ヒトに思いを伝えることは難しい。せめて美しい花が見える風景を見沼を歩く人たちに届けたいと思っている。中学生が私たちのフィールドに立ち寄ってくれたときに、ノハナショウブが咲いていた。この花が子どもたちへのプレゼントである。(加倉井範子)


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