集団個展に行く
友人の旦那様の彫刻家の方から、我が家に木彫の小さなシャケの赤ちゃんが届いた。早速窓辺に飾ったが、よく見ると目から尻尾すべて同じ1つの木で手作業で掘りあげてある。北海道の帰りに福島にあるアトリエに初めてお邪魔した。引き出しに梱包された赤ちゃんが250匹はいるとのことに驚いた。展覧会で全てを見ることができるというので、福島の展覧会に行くことを2023年の夏の楽しみにした。
自然を相手にしていると、課題が山積みになる。そして、今まで無防備に生きてきたツケがまわったように、思わぬ災難にも遭う。低空飛行の日々、少し高度をあげた視点を欲していた。
「つながるいのち」たくさんの魚たちにいのちを与える地道な作業と情熱に驚いた。一つ一つの木に蜜蝋を塗ることで、自然な木の色合いを表現していた。人は驚くことで視野が広がり、新たなものを考えたり深めたりするのかもしれない。作品をつくる情熱の源泉はどこから生まれてくるのだろうか。心に残る展覧会だった。
立場も空間も時間も違うが、大石さんの美に対する直向きさに、私の中で小さなメモリができた。少しずつでいいから、形を作っていく。立場は違っても、気がつく人は少ないかもしれないが、蜜蝋を塗るように彩りを添えながら、面倒がらずに日々を積み重ねていきたい。
「脈・FUKUSHIMA」は、表現の場と時のみを用意し、集団個展として1953年に結成された。作家本人の自由と責任において表現された作品・キャプションにも刺激を受けた。写真を撮ってもいいというので、気になった作品を記録した。表現者が発した問いとは何かを考え、そして今も考えている。
世の中はこうした情熱の発信のつながりでできているのかもしれない。表現のすることで新たなつながりができるのかもしれない。
メモ
郡山には「野鳥の森学習館」(024-934-2180)があると大石さんに紹介してもらった。宇都宮は、渡辺貞夫の影響でJazzの街。帰りにインダルスドリーム(028-666-6119)という店に立ち寄った。路面電車が開通するとかで街は華やいでいた。餃子も食べた。(203.8.28 加倉井範子)