2019.6.29 両生類の今を学ぶ

◇日時 2019年9月29日 土曜日 9時30分〜11時30分

◇天気 雨
◇講師 埼玉県川の博物館学芸員 藤田宏之氏
◇場所 埼玉県自然学習センター
近年増えているヌマガエルの状況もお聞きできた。両生類が生息するためには水域と陸域を必要とするので、大規模開発や圃場整備による水路のコンクリート化などの影響を受けやすくその数が減少している。また、外来種のアライグマによる捕食が深刻になっている。特にトウキョウサンショウウオやアカガエルに対する捕食圧が大きなダメージになっている。
1埼玉には18種の両生類が棲んでいる
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2本来のヌマガエルの生息域
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3埼玉県で急速に増えている
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4背中に線のあるヌマガエルは九州由来かも?キュウリの苗に紛れて入ったかも知れないが、確証はない
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5ヌマガエルは、圃場整備などに強く、近代化された水田に適応して増えている。一方、アカガエル類は適応できず減り続けているのは残念。
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6生物多様性は大切
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7ヌマガエルはお腹が白い
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8ヌマガエルは眼と眼の間に線がある
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9こんな場所がカエルにとって良い場所
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ヌマガエルが増えている事を実感していたので、参考になった。生物多様性の保たれている場所では、大繁殖は出来ないとのことであった。保全する上でも必要な視点であると思った。
メモから
★ヌマガエルは産卵時期が遅く、高温、乾燥に強いので、最近の田植え時期が遅くなった農業に合っている。食べ物は軟らかい物が好き、共食いもするし、アマガエルやミミズも捕食する。オタマジャクシは、眼がよっていて頭がとんがっている。寿命は2年くらい。その年に成熟する。
ニホンアカガエルは高温・乾燥に弱い。寿命は2年程度なので、増えやすくて減りやすい。寒冷地では、1回で終了。オタマジャクシが梅雨時に上陸する。オスは泥の中で越冬。メスは草の中で越冬。
★シュレーゲルアオガエルはメスが大きい
★アマガエルは一定期間水があればOK
★トウキョウダルマガエルは成長が遅い.二毛作水田がよくない。7月に水を落とすとオタマジャクシが生きていけない。
★アズマヒキガエルの寿命は10年くらい
★ウシガエルは減少傾向
★アライグマはエサのない時期1月2月にアカガエルやサンショウウオを食べる。サンショウウオは頭だけ食べるので食べかすがある。アカガエルは美味しいので、2口で捕食し、たまに足先が残る。アライグマは姿勢を低くするのが嫌いなので、周りに台を置くか,網をはるのが良いが、カエルの通路を下に作る必要がある。
★イタチは食べかすが残らない
★10月になるとカエルはいなくなる。
★カエルは冬眠するときお尻から潜る。サンショウウオは頭から潜る。
後日、藤田学芸員からのメール
県東部・南部でニホンアカガエルの保全に取り組んでおられる団体をいくつか存じていますが、明暗が分かれています。
はっきりとは言えませんが夏場の高温時に上陸した当年のちいさなカエルが生き残るのが難しくなっていると考えます。具体的に日陰で涼しい雑木林が繁殖地の近くにあるといいと考えています。
アカガエルは梅雨時に上陸し、その年に成熟するのでしょうか。 2年の寿命で何回産卵するのでしょうか。
寿命は暖かい埼玉県では、生まれた翌年に産卵にやってくるのが通常と考えます。ひとシーズンの産卵でゼリーの塊ひとつですので、トータル500卵〜3000卵ぐらいのようです。大概は2シーズンぐらいで死んでしまうようです。
イタチはアカガエルを食べるのでしょうか。最近イタチとアライグマの足跡を確認しています。
イタチのエサになっています。かなり食べられていると考えますが、アライグマのように集中的な捕食とはいえず、致命的なダメージには至らないと考えます。しかし、個体数が少ないとなると、排除も考慮する必要はあります。
アズマヒキガエルの寿命が10年とのことなのでお尋ねします。5年ほど前に水路がコンクリート化されてからアズマヒキガエルの卵塊を確認出来なくなりました。万一、水路を元に戻すとカエルは戻ってくるでしょうか。
水路を戻すことも重要ですが、周囲の環境も変化すると難しいかもしれません。普段の棲家と水路の間に道路が出来てしまうだけでも減少します。ヒキガエルの減少は水辺環境の悪化だけでなく、周辺の伐採や造成も大きなダメージとなります。
一度、私たちのフィールドを見て頂きたいと思いました。(記 加倉井範子)


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